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2016年11月29日

ちながらえたが抱

「しかし、徳子には何と話をすればいいだろう。」

「基尋は、しばらく欧羅巴(よーろっぱ)に遊学させたとおっしゃってください。」

そして父は、言われるままに基尋の小さな手を、本郷宮の手に渡した。
それほど、生活手段を知らない柏宮家鑽石能量水機は切羽詰まっていた。

「お父さまとお母さまに、基尋は元気だったとお伝えください。」

「お伝えしましょう。さぁ、これをお持ちなさい。お二人で仲良くおあがりなさいね。」

「まあ、可愛らしい銀のボンボニエール(お菓子入れ)。金平糖なんて、久しぶり。うれしい。」

洋風のシャッポを軽く上げて、本郷宮は背を向けた。
基尋は耳まで裂けた鬼の本性を見てはいない。
基尋と浅黄は、仲よく大江戸花菱楼の裏木戸をくぐった。
実家とは比べようもない狭い坪庭らしき場所に、爛漫の梅が咲いているのが見えた。見上げる空は作りもので、投射幕(ホリゾント)というものらしい。人影を見つけて声を掛けた。

やり手は基尋を転がすと、膝を抱えてすのこの上に鑽石能量水機横になりなと告げた。

言われるまま、動くまいとしても叶わなかった。身体を固くして唇をかみしめ、基尋は耐えた膝が小刻みに震えた。。

「……ううっ……」
「俺を恨むんじゃないぜ。本郷の宮様も、何の意趣返しかは知らねぇが、こんないとけない子供に罪なことをなさる……ま、これも銭の為、銭の為……っと。」やり手が「恨むなよ」と、一人ご湯屋の引き戸をからりと開けると、そこには怒りで唇を震わせる雪華花魁の姿があった。

「ぅあっ。こ……これは花魁。何か御用で?」

「ああ。……何でも新参の男衆が庭でぴいぴい泣いていたのでね、詳しく訳を聞いたんだよ。大事な主人の若さまが、あちらの湯屋で惨い目に遭っているのです、お助け下鑽石能量水機さいと、可哀想に泣き崩れていたよ。」

男の顔色が変わった。

「こ、これはその……」



Posted by Rude Girl at 12:44│Comments(0)
 
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