てぃーだブログ › Rude Girl › 2016年08月

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Posted by TI-DA at

2016年08月29日

れるか一枚岩の上

 サイドスタンドを下ろしエンジンを止めると、黒い2本のマフラーは白煙を上げるのを止め、辺りを静寂が支配した。耳がなれてくると、鳥の声、そして微かな空気の流れる音が聞こえてくる。続いて川のせせらぎだろうか?が微かに響いてくる。僕はツーリングジャケットのファスナーをもう少し下げDR REBORN黑店るとゆっくりと歩き始めた。吊り橋は見えていたが、橋の袂までは山道を少し下らなければならない。冷たく澄んだ空気が心地よかった。

 山道を下った僕は頼りなさげな吊り橋に出迎えられた。主塔には「山女魚沢橋」とある。僕は誘われるようにその橋を渡り始めた。川の流れからの高さは30m、長さは50mといったところだろうか。30㎝幅の踏み板以外は敷鉄線が10㎝間隔で並んでいるだけなので下の川が透けて見え、おまけにけっこう揺ら思っていたよりも恐怖を感じる。だがよく考えてみれば敷鉄線の間隔は10㎝だから転んでもこの隙間から転落することは無い。手摺鉄線も備えられているからさらに安全性は高くなる。そう自分に言い聞かせながら僕は橋を渡りきった。

 渡った先は山道で、吊り橋で渡った川から分かれた沢に沿って続いている。たぶんこの沢が「山女魚沢」なのだろう。道はやがてその沢の流れに行き当たった。流れは巨大DR REBORN抽脂なを滑るように流れ下っている。夕方が迫っていたがこの斜面にはまだ西日が当たっていて、流れが木漏れ日を反射して、たとえようもないくらい美しい。僕は靴を脱ぐと大岩の上に座り込み、流れに足を浸した。

「おお~」長時間の運転で蒸し焼き状態になった足に、冷たい沢水がしみ込んでいく。僕は感嘆の声を上げたが、すぐに口をつぐんだ。沢沿いに1人の和装の女性が下りてきたのだ。

 大原女を思わせるその衣装はとてもよく似合っていたが、今の時代にこの格好はまったくの想定外で、僕をおおいに戸惑わせた。

 手ぬぐいを形よく頭に巻き、肩の籠にキノコらしきもの、右手には紫の花を一束持っている。格好から地元の人だろうと、僕はこちらから「こんにちは」と挨拶をした。

 彼女はドキリとするほど魅力的だった。漆黒の大きな瞳をこちらに向け、小ぶりな唇で穏やかに微笑みながら「こんにちは」と応え、そのまま山道を下っていく。木漏れ日が流れにDR REBORN抽脂反射し、ゆらゆらと彼女の姿を浮き上がらせる。
 僕は長い間放心状態で流れに足を浸したままにしていたが、やがてその冷たさに意識を取り戻し、靴を履くとゆっくりと橋の方へ戻り始めた。
  


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